整備要員・整備士の数は、いま何人か

まず全体の数から押さえます。日整連の令和6年度の実態調査(基準時点は2024年6月30日)では、整備要員数は40万2025人で前年度から0.6%増えました。このうち整備士の資格を持つ整備士数は33万3047人で、前年度から0.5%増です。整備士数は2011年度の34万7276人をピークに減ってきましたが、今回は4年ぶりに増加へ転じました。

「整備要員」は整備の現場で働く人の全体、「整備士」はそのうち国家資格を持つ人を指します。整備要員数の近年の動きは、次のとおりほぼ横ばいです。

年度整備要員数動き
2018年度39万9374人
2019年度39万9135人ほぼ横ばい
2020年度39万9218人ほぼ横ばい
2021年度39万8952人ほぼ横ばい
2022年度39万9619人ほぼ横ばい
2023年度39万9770人ほぼ横ばい
2024年度40万2025人40万人台へ

日整連「自動車特定整備業実態調査結果の概要」各年度版をもとに作成(2026年6月4日確認)。各年度は調査基準時点での人数。

数字だけ見ると「人手は保たれている」と読めます。ところが現場の実感は逆向きです。その理由が、次の年齢の中身にあります。

頭数が横ばいでも、現場が苦しい理由

全体の数が保たれていても、中身は静かに高齢へ寄っています。同じ実態調査で、整備要員の平均年齢(自家を除く)は47.4歳。前年度から0.2歳上がりました。業態によって差が大きいのが特徴です。

業態整備要員の平均年齢前年度差
専業(整備が主)52.8歳+0.1歳
兼業(販売など併営)48.8歳+0.3歳
ディーラー37.3歳+0.3歳
全体47.4歳+0.2歳

日整連 令和6年度「自動車特定整備業実態調査結果の概要」をもとに作成(2026年6月4日確認)。平均年齢は自家用を除く整備要員。

専業の現場では平均が52.8歳です。50代の整備士が支えている職場では、5年から10年のうちに定年や引退の波が一度に来ます。全体の頭数が横ばいに見えるのは、若手が入って増えた分ではなく、ベテランが辞めずに残って数を保っているからです。だからこそ、その人たちが抜けたあとに何が残るかを、いまのうちに数えておく必要があります。

女性の整備要員は1万9335人で全体の4.8%、うち整備士は1万567人で3.2%にとどまります。採用の母集団を広げる余地は、ここにもまだあります。

求人5.28倍、欠員待ちでは間に合わない

採りにくさは、求人の数字にもはっきり出ています。国土交通省が厚生労働省の職業安定業務統計をもとにまとめた資料では、自動車整備士の有効求人倍率は令和6年度で5.28倍。全職種平均の1.25倍と比べて約4倍の水準です。

5.28倍とは、どういう状態か 求職者1人に対して、求人が5件以上ある状態です。1倍を超えると人を採る側が探される立場になります。5.28倍は、同じ1人の整備士を5つの工場が取り合う計算で、待遇や働き方で選ばれなければ応募が来ません。

この水準で考えると、「欠員が出てから募集する」やり方では間に合いません。応募が集まるまでの時間が読めず、現場が1人欠けたまま回る期間が長くなります。退職や定年が見えているなら、その時期から逆算して早めに募集を始めるほうが、欠員の期間を短くできます。

自店の人員を、年齢で並べてみる

全国の平均は、自店の備えを考える出発点にしかなりません。ここからは、あなたの工場の数字に置き換えます。やることは1つ、整備要員を年齢順に並べることです。

  • 整備要員を5歳刻み(20代前半・後半、30代前半…)で並べ、各層に何人いるかを数えます。
  • そのうち、5年後・10年後に定年や引退を迎える人が何人かを印で付けます。
  • 40代・50代に固まっていて20代・30代が薄いなら、平均年齢が全国より高い「専業型」の構成です。穴が一度に開きやすいので、採用と引き継ぎを早めに動かします。

この一覧があると、「なんとなく人が足りない」という感覚が、「2030年に2人抜けて補充が1人」のような具体的な数に変わります。採用の必要数も、育成にかけられる時間も、ここから逆算できます。

採用と育成、年単位の計画に変える

年齢の一覧ができたら、それを年単位の計画に変えます。判断の材料を3つの数で持っておくと、採用も育成もぶれません。

見る数字どこから取るか計画への落とし方
抜ける人数自店の年齢一覧(5年後・10年後の定年予定)毎年の最低採用数を決める。抜ける数を下回らないようにする
採れるまでの期間過去の自店の募集実績+求人倍率5.28倍の水準退職予定からその期間ぶん前倒しで募集を開始する
引き継ぐ技術ベテランが持つ作業(電子制御・特定整備など)の棚卸し誰が誰に教えるかを指名し、引退前に重ねる期間をつくる

採用は数を埋めるだけでは終わりません。50代が支える専業の現場では、辞める前に技術を渡す時間を確保できるかで、その後の工場の力が決まります。新人が独り立ちするまでには年単位の時間がかかるため、ベテランが現役のうちに重なる期間をつくることが要点です。求人倍率が高いいまは、人を募集する前に、待遇や育成の見せ方で「選ばれる工場」になっておくことが先決です。

数字を、いつ・どこで確かめるか

整備士・整備要員数の数字は、発表の時期がだいたい決まっています。一年の予定に入れておくと、毎年の更新を追いやすくなります。

  • 日整連「自動車特定整備業実態調査結果の概要」 ― 整備要員数・整備士数・平均年齢・年収が載ります。例年1〜2月に公表されます。
  • 日整連「自動車整備白書」 ― 実態調査をより詳しくまとめた冊子です。例年4月ごろに公表されます。
  • 国土交通省 自動車整備人材の資料 ― 求人倍率や人材確保の論点が確認できます。発表は不定期のため、公表のたびに見ます。

本文の数字は令和6年度の調査(基準時点2024年6月30日)にもとづきます。来期の計画を立てる前に、各機関の最新ページで数字を更新してから判断してください。

よくある質問

整備士の数は減っているのですか、増えているのですか?
整備士数は2011年度の34万7276人をピークに減ってきましたが、令和6年度の調査では33万3047人で前年度比0.5%増と、4年ぶりに増えました。整備要員数も40万2025人で前年度比0.6%増です。ただし平均年齢は47.4歳に上がっており、頭数の横ばいと若手不足は別の話として見る必要があります。
整備士の有効求人倍率はどのくらいですか?
厚生労働省の職業安定業務統計をもとにした国土交通省の資料では、自動車整備士の有効求人倍率は令和6年度で5.28倍です。全職種平均の1.25倍と比べて約4倍の水準で、1人の求職者に対して5件以上の求人がある計算になります。
整備要員の平均年齢はどのくらいですか?
令和6年度の実態調査で、整備要員の平均年齢(自家を除く)は47.4歳です。業態別では専業が52.8歳、兼業が48.8歳、ディーラーが37.3歳で、専業ほど高い傾向があります。
整備士・整備要員数のデータはどこで見られますか?
日本自動車整備振興会連合会(日整連)の「自動車特定整備業実態調査結果の概要」と「自動車整備白書」です。実態調査の概要は例年1〜2月、白書は例年4月ごろに公表されます。人材確保の論点は国土交通省の自動車整備人材の資料もあわせて確認できます。

出典

SOURCES | 一次情報
  1. 日本自動車整備振興会連合会(日整連)「令和6年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要について」(整備要員数40万2025人・整備士数33万3047人・平均年齢47.4歳・基準時点2024年6月30日) jaspa.or.jp/.../R06jittaityousa.pdf (2026年6月4日確認)
  2. 日本自動車整備振興会連合会(日整連)統計・白書のページ jaspa.or.jp/member/data/whitepaper.html (2026年6月4日確認)
  3. 国土交通省「自動車整備士の確保・育成に係る課題とこれまでの取組」(有効求人倍率の資料を含む) mlit.go.jp/jidosha/content/001877732.pdf (2026年6月4日確認)
  4. 国土交通省「自動車整備分野における人材確保に係る取組」 mlit.go.jp/koku/content/001729973.pdf (2026年6月4日確認)
  5. 有効求人倍率5.28倍(令和6年度・全職種平均1.25倍)の数値出典:厚生労働省「職業安定業務統計」をもとにした国土交通省・各種報道。最新値は各機関の公表で再確認 mlit.go.jp/report/press/jidosha09_hh_000300.html (2026年6月4日確認)

整備要員数・整備士数・平均年齢は日整連の実態調査の各年度版にもとづきます。求人倍率は公表時期により更新されます。来期の採用計画を立てる前に、各機関の最新ページで数字を更新してください。

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