平均車齢と平均使用年数は、いま何年か
まず、地域に走る車がどれだけ古く・長くなっているかを、自検協の数字で押さえます。判断の起点になる4つです。
| 指標 | 最新値 | 動き |
|---|---|---|
| 乗用車の平均車齢 | 9.44年 | 33年連続で上昇。10歳に迫る |
| 乗用車の平均使用年数 | 13.35年 | 前年比+0.03年。4年ぶりに長期化へ |
| 普通乗用車/小型乗用車 の平均使用年数 | 12.74年/13.97年 | 普通は微減、小型は+0.09年 |
| 貨物車の平均使用年数 | 16.29年 | 13年連続の長期化で過去最長 |
自動車検査登録情報協会「令和7年版 わが国の自動車保有動向」(令和7年3月末時点・いずれも軽自動車を除く)をもとに作成(2025年10月22日確認)。平均使用年数の過去最長は令和3年の13.87年。
乗用車は、今ナンバーが付いている車の平均で9.44年。新規登録から手放すまでで見ると13.35年です。貨物車はさらに長く、16年を超えています。あなたの店の前を通る車のうち、車齢8年・9年がもう珍しくない、という肌感覚を数字が裏づけます。
「車齢」と「使用年数」は、どう違うか
この2つは似ていますが、見ているものが別です。読み違えると判断もずれるので、先に分けておきます。
- 平均車齢は、いま登録されている車が新車から何年たったかの平均です。人でいえば「今その地域に住む人の平均年齢」にあたります。9.44年は、走っている車の現在の古さです。
- 平均使用年数は、新規登録から抹消(廃車・輸出など)までの平均の長さです。「一生のうち何年乗られたか」に近く、13.35年は1台が役目を終えるまでの年数です。
- 使い分けると、車齢は「今すぐの整備需要の厚み」、使用年数は「乗り換えまでの残り時間」を表します。車検の入庫見込みは車齢で、買い替え提案の時期は使用年数で読むと外しにくくなります。
なぜ車は古く長くなっているのか
車齢が33年も上がり続けるのは、一時的な品不足のせいだけではありません。内閣府は新車販売の構造的な下押しを指摘しています。背景は大きく分けて次の流れです。
- 新車が以前ほど売れていない。月あたりの新車販売は、コロナ前の2018年ごろの水準(月平均およそ36万台)を下回って推移しています。部品不足や認証の問題が落ち着いても、水準は戻り切っていません。
- 1台を長く乗るようになった。車の耐久性が上がり、整備しながら長く使う選択が普通になりました。新車が入りにくいぶん、手元の車を直して乗り続ける動きが重なっています。
- 高齢の世帯が車を手放し始めている。内閣府の分析では、車を手放した理由で「高齢・病気・体力」が2013年の26%から2023年は33%へ上がりました。少子高齢化のもとで、この需要の先細りは続くとみられます。
新車の細りと車齢の上昇は、同じ流れの表と裏です。備えるべきは「新車がまた来年戻る」と待つことではありません。古く長く乗る車を受け止める側で稼ぐ構えに変える。この数字はそう示しています。
保有台数を、入庫の母数としてどう使うか
保有台数は、あなたの商圏にどれだけの車検・整備の仕事が眠っているかの母数です。台数の伸びは止まっても、母数そのものは大きいままです。
- 全国の自動車保有はおよそ8,277万台、うち自家用乗用車は約6,183万台(令和7年3月末)です。台数の伸びは頭打ちでも、1台が古く長く乗られるぶん、整備の手数は減りません。
- 地域の母数は、自検協や運輸支局の市区町村別データで確かめられます。自店の商圏に登録車が何台あり、そのうち何台に毎年触れているかを出すと、伸びしろの大きさが見えます。
- 整備の市場全体は伸びています。整備業の総整備売上高は2024年版の白書で6兆2,561億円と、18年ぶりに6兆円を超えました。部品高による単価上昇に加え、古い車が増えたことが押し上げています。
母数が大きく、1台あたりの整備機会も増える。あなたが取るべき問いは「新車をどう増やすか」ではなく「商圏の保有のうち、まだ触れていない車にどう手を伸ばすか」になります。
車齢上昇を、車検と整備の入庫にどう活かすか
車齢が上がるほど、検査と部品交換の機会は規則的にやってきます。これを需要のカレンダーとして読むと、入庫の波が読めます。
| 車齢のめやす | 起きやすいこと | 先回りの一手 |
|---|---|---|
| 3年目 | 初回車検 | 2回目以降も任せてもらう関係づくり。次回の見込みを記録に残す |
| 5〜7年目 | バッテリー・タイヤ・ブレーキの交換期 | 消耗品の交換時期を案内し、車検前のまとめ整備につなげる |
| 8〜10年目 | タイミング系・足回りなど高額整備が出始める | 修理費と乗り換えを並べて見せ、客が選べる材料を渡す |
| 11年目以降 | 車検2回分をまたぐ長期保有 | 継続か乗り換えかを車検の前に相談。買取査定も同時に出す |
車齢と整備内容の対応は一般的な目安です(車種・走行距離・使用状況で前後します)。整備業の経営・人材データの出典は日整連の実態調査・整備白書。
平均車齢9.44年という数字は、あなたの客の多くがこの表の「8〜10年目」前後に差しかかっていることを意味します。高額整備か乗り換えかの相談が増える層です。ここで修理費と乗り換え額を並べて見せられる店が、車検も買取も取りこぼしません。
買取と在庫は、この流れにどう構えるか
古く長く乗る客が増えるほど、買取に出てくる車も低年式・過走行に寄ります。仕入れと在庫の構えを、この前提に合わせます。
- 低年式・過走行でも値が付く前提で査定する。平均使用年数が13年を超える以上、10年落ち前後の車を欲しがる層は厚いままです。下取りで「値が付かない」と諦めさせず、買取の窓口として受ける。
- 整備とセットで回す。買い取った古い車を、自店の整備で仕上げてから売れば、利幅も信頼も残ります。車齢が上がる流れは、整備力のある店ほど在庫を作りやすい流れでもあります。
- 輸出という出口も意識する。国内で値が付きにくい車も、海外向けには需要があります。仕入れの判断材料として、相場の動きを継続して見ておくと、査定の上限を引き上げられます。
数字をいつ更新し、何と見比べるか
このデータは毎年3月末時点で集計され、自検協から例年秋ごろに「わが国の自動車保有動向」として出ます。あなたが見るべきは、全国の数字そのものよりも、自店の客との差です。
- 来秋に新しい保有動向が出たら、乗用車の平均車齢が9.44年からどう動いたかを1点だけ確認します。上がり続けるなら、整備・買い替え提案の比重を保つ判断材料になります。
- そのうえで、自店の顧客台帳の車齢分布と全国平均を見比べます。自店の客のほうが車齢が高ければ、高額整備と乗り換えの提案を厚く。低ければ、車検の継続率を守る守りに寄せます。
- はっきり日付や数字で確認できないものは、推測で在庫や設備を判断しないでください。輸出相場や地域別の細かい台数は変動が大きく、各機関の最新ページで確かめてから動くのが安全です。
よくある質問
出典
- 自動車検査登録情報協会「令和7年版 わが国の自動車保有動向を発表」(乗用車の平均車齢9.44年・平均使用年数13.35年。令和7年3月末時点) airia.or.jp/randi/v19mrm0000002xac.html (2025年10月22日確認)
- 自動車検査登録情報協会「平均使用年数(令和7年)」(乗用車13.35年・普通乗用車12.74年・小型乗用車13.97年・貨物車16.29年) airia.or.jp/publish/file/shiyounensuu_2025.pdf (2025年10月22日確認)
- 自動車検査登録情報協会「自動車保有台数」統計(保有車両数・自家用乗用車保有台数) airia.or.jp/publish/statistics/number.html (2025年10月22日確認)
- 内閣府「今週の指標 No.1388 2024年以降の新車販売状況と、自動車消費を巡る構造的な変化について」(新車販売の構造的下押し・高齢世帯の手放し26%→33%・平均車齢の推移) cao.go.jp/keizai3/shihyo/2025/1003/1388.pdf (2025年10月22日確認)
- 日本自動車整備振興会連合会(日整連)「自動車整備白書」「自動車特定整備業実態調査」(総整備売上高6兆2,561億円・18年ぶり6兆円超) jaspa.or.jp/member/data/whitepaper.html (2025年10月22日確認)
保有台数・平均車齢・平均使用年数は各年3月末時点の集計です。整備売上高は2024年版白書(2023年7月〜2024年6月決算分)の値です。新車販売の水準・輸出相場・地域別台数は変動が大きいため、判断の前に各機関の最新ページで再確認してください。