整備の売上は、いくらまで来たか

あなたが調べている「整備の売上高」の全体は、日整連の調査で6兆2561億円です。2024年度の「自動車特定整備業実態調査」で、前年比5.9%増、3年連続の増加でした。6兆円を超えたのは18年ぶりです。この数字は、2023年7月から2024年6月までに決算が終わった全国の整備事業場の整備売上を集めたものです。

数字の大きさだけ見ると景気のよい話に見えます。ただ、この6兆円は全国9万2384事業場の合計です。事業場が増えた効果も、1台あたりの工賃が上がった効果も、まとめて入っています。全体が増えたからといって、あなたの店の1台あたりや1人あたりが増えたとはかぎりません。全体の数字は、あくまで自店を当てはめる土台として押さえます。

項目2024年度の調査前年からの動き
総整備売上高6兆2561億円前年比5.9%増(3489億円増)。3年連続増、18年ぶりの6兆円超
事業場数9万2384事業場前年比0.6%増。3年連続増
整備要員数56万2869人前年比1.5%増。7年連続増

日整連「2024年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要」をもとに作成。売上は2023年7月〜2024年6月の決算実績、事業場数・要員数は2024年6月末時点(2026年6月4日確認)。

なぜ6兆円まで伸びたか

全体が伸びた中身を見ると、自店のどこを点検すべきかが決まります。作業内容別の売上は、次のとおりです。

作業の種類売上高前年からの動き
車検整備2兆5400億円前年比2.6%増
事故整備1兆1198億円前年比9.6%増。3年連続増
定期点検整備4568億円前年比3.1%増

日整連「2024年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要」より(2026年6月4日確認)。上記以外の整備(一般整備など)を含むため、合計は総整備売上高と一致しません。

目立つのは事故整備の9.6%増です。車検整備の伸びが2.6%にとどまる中で、事故整備が全体を押し上げました。修理単価が上がったことや、入庫が戻ってきたことが背景にあります。あなたの店で板金・塗装まで受けているなら、この伸びを自店でも取れているかを確かめる値打ちがあります。受けていないなら、伸びている仕事が外注先や同業に流れている、という見方もできます。

業態で、伸び方はこれだけ違う

全体の5.9%増という数字を、そのまま自店の目標にはできません。業態によって伸び方が違うからです。同じ%でも、専業とディーラーでは中身がまったく別です。

業態整備売上高前年からの動き
ディーラー2兆9743億円前年比5.4%増
専業
(整備が本業)
2兆2483億円前年比4.4%増
兼業
(給油所・販売店など)
7716億円前年比11.8%増
自家
(運送会社などの自社整備)
2619億円前年比8.6%増

日整連「2024年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要」より(2026年6月4日確認)。業態は調査の区分に従う。

伸び率がいちばん高いのは兼業の11.8%増です。給油所や販売店が整備を強めている動きがうかがえます。一方で売上の総額がいちばん大きいのはディーラーで、専業がそれに続きます。あなたの店がどの業態かで、比べる相手は変わります。専業なら専業の4.4%、兼業なら兼業の11.8%が、まず並べるべき数字です。全体の5.9%を見て一喜一憂しても、自店の位置はわかりません。

自店を測る物差しは、1人あたりの売上

業態の伸びの次に見るのが、整備要員1人あたりの年間整備売上高です。これが自店の位置を測るいちばん使いやすい物差しになります。総額は店の規模で大きく変わりますが、1人あたりなら、規模が違う店どうしでも比べられるからです。

業態整備要員1人あたりの年間整備売上高
ディーラー2500万円台
兼業1200万円台
専業1100万円台

日整連「2024年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要」をもとに作成(2026年6月4日確認)。自家を除く区分。公表値には集計方法による幅があるため、本表は百万円台で丸めて示す。

使い方はかんたんです。自店の年間の整備売上を、整備に関わる人数で割ります。出た数字を、同じ業態の上の値と比べます。専業で1人あたりが900万円なら、専業平均の1100万円台より下です。つまり、台数や工賃そのものより、1人あたりの稼ぎに伸びしろがある、と読めます。逆に上回っていれば、人を増やしても売上がついてくる体力がある、という判断につながります。

ざっくり当てる場合の目安 全体の総整備売上高6兆2561億円を、整備要員56万2869人で割ると、1人あたりおよそ1100万円です。事業場数で割ると1事業場あたりおよそ6800万円。どちらも全業態を平均した粗い目安なので、自店を測るときは前の表の「同じ業態の値」を使ってください。

何の整備で稼いでいるかを見る

1人あたりで位置がわかったら、最後に売上の中身を見ます。同じ売上高でも、車検中心の店と事故整備中心の店では、先行きの構えが変わるからです。

  • 車検整備(全体で2兆5400億円)は、整備売上の柱です。地域の保有台数に支えられた、読みやすい仕事です。ここが自店の売上の何割かを把握します。
  • 事故整備(全体で1兆1198億円、前年比9.6%増)は、いちばん伸びている仕事です。板金・塗装の設備や提携先があるかで、この伸びを取れるかが分かれます。
  • 定期点検整備(全体で4568億円)は、車検の前後でお客様とつながり続けるための仕事です。台数のわりに金額は小さくても、次の車検や買い替えの入り口になります。

自店の売上をこの3つに分けて、全体の構成比と見比べます。事故整備が全体では伸びているのに自店では薄いなら、設備か提携でその仕事を取りにいく余地があります。判断の材料は、全体の6兆円ではなく、この内訳の比べ方にあります。

この数字は、いつ・どこで出るか

ここまでの数字は、すべて日整連の2つの公表物から取れます。毎年見る場所を決めておけば、自店の位置を年に一度たな卸しできます。

  • 自動車特定整備業実態調査結果の概要。 総整備売上高・業態別・作業内容別・事業場数・整備要員数が載ります。例年1〜2月ごろに公表されます。
  • 自動車整備白書。 実態調査をもとに、整備士の不足感や経営の課題まで広げて分析したものです。例年4月ごろに公表されます。

なお、本記事の数字は2024年度の調査(2024年6月末・2023〜2024年度決算が基準)です。その後の年度の調査が公表されると、総額や業態別の数字は更新されます。あなたが判断する前には、日整連の最新の概要で同じ項目を見直してください。比べる相手の数字も毎年動きます。

よくある質問

自動車整備の総整備売上高はいくらですか?
日整連の2024年度の調査で6兆2561億円です。前年比5.9%増で、3年連続の増加、18年ぶりに6兆円を超えました。これは2023年7月から2024年6月までに決算が終わった事業場の整備売上を集めた数字です。
売上が伸びているのに自分の店の手応えが弱いのはなぜですか?
全体の6兆円には、事業場の数が増えた効果や1台あたりの工賃が上がった効果も含まれます。業態別では兼業が前年比11.8%増、ディーラーが5.4%増で、伸び方が業態によって違います。全体の%ではなく、自分と同じ業態の伸びと、整備要員1人あたりの売上で見比べると、手応えとのずれが見えます。
自分の店の売上は何と比べればいいですか?
同じ業態の整備要員1人あたりの年間売上です。日整連の調査では、専業はおよそ1100万円台、兼業は1200万円台、ディーラーは2500万円台と、業態で差があります。自店の整備売上を整備に関わる人数で割り、同じ業態の数字と比べると、台数や工賃ではなく1人あたりの稼ぎで位置がわかります。
整備売上の数字はどこで見られますか?
日整連の「自動車特定整備業実態調査結果の概要」と「自動車整備白書」です。実態調査の概要は例年1〜2月ごろ、白書は例年4月ごろに公表されます。業態別の売上や作業内容別の売上、整備要員数まで載っています。

出典

SOURCES | 一次情報
  1. 日本自動車整備振興会連合会(日整連)「自動車特定整備業実態調査」 jaspa.or.jp/member/data/research.html (2026年6月4日確認)
  2. 日本自動車整備振興会連合会(日整連)「自動車整備白書」 jaspa.or.jp/member/data/whitepaper.html (2026年6月4日確認)
  3. 日本自動車会議所「日整連の2024年度実態調査、総整備売上高が18年ぶりに6兆円超える」(総整備売上高6兆2561億円・前年比5.9%増、業態別・作業内容別・事業場数の出典として参照) aba-j.or.jp/info/industry/23637/ (2026年6月4日確認)

数字は2024年度の調査(2024年6月末・2023〜2024年度決算が基準)です。新しい年度の調査が公表されると更新されます。判断の前には日整連の最新の概要で同じ項目を再確認してください。

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