新車はどこまで減ったか ― 777万台から442万台へ

来期の新車目標を置くとき、前年だけでなく長い流れを一度見ておくと、根拠のある数字になります。国内の新車販売は1990年の約777万台がピークで、その後は長く右肩下がりです。2024年(暦年)は442万1494台で、ピークと比べておよそ4割減りました。

新車販売台数(登録車+軽の合計)ピーク比のめやす
1990年約777万台(過去最高)100
2024年442万1494台(前年比7.5%減)およそ57

日本自動車販売協会連合会(自販連)・全国軽自動車協会連合会(全軽自協)の統計をもとに作成(2025年11月20日確認)。1990年の数値は過去最高として広く参照される水準で、団体公表の長期データに基づきます。

2024年は登録車が286万3626台(前年比5.6%減)、軽自動車が155万7868台(同10.7%減)でした。減り方が大きかった年で、複数メーカーの型式指定をめぐる申請不正と、それに伴う生産停止が重なった年でもあります。つまり2024年の落ち込みには一時的な要因も混じっています。来期を読むときは、この一時要因と、ピークから続く長期の縮小を分けて見るのが安全です。

減ったのは販売だけ ― 保有8277万台は残る

新車が減ったからといって、あなたの商圏を走る車が同じだけ減ったわけではありません。ここを取り違えると、来期を実態より縮めてしまいます。保有台数は2025年3月末で8277万台あり、ここ数年は横ばいから微減の範囲です。

新車が毎年減っているのに保有がほぼ減らないのは、1台あたりを長く乗るようになったためです。新しく入る車は減っても、すでにある車が廃車にならず残るので、走っている台数の総数は大きく動きません。あなたの店にとって、この保有台数こそが車検・整備・買取の母数です。新車台数より、この数字のほうが入庫の見込みに直結します。

販売台数と保有台数は別の数字 新車「販売」は1年間に新しく登録された台数、「保有」はいま走っている車の総数です。来期の入庫を読むなら、減っている販売ではなく、残っている保有を母数に置きます。

車が古くなると、整備の母数はどう増えるか

保有が残るだけでなく、その中身が古くなっています。乗用車(軽を除く)の平均使用年数は2025年3月末で13.35年で、前年より延び、長期化が続いています。平均車齢も9歳台後半で、長く上昇してきました。

1台を長く乗るほど、整備の機会は次のように増えます。これが、新車が減っても整備の仕事が細らない理由です。

  • 車検の回数が増える。 初回車検のあとは2年ごとに車検が来ます。長く乗るほど2回目・3回目の車検が積み上がり、車検入庫の母数が増えます。
  • 部品交換が出てくる。 タイミングベルトやバッテリー、タイヤ、ブレーキ周りなど、年数と距離で交換時期が来る部品が増え、車検以外の整備のきっかけになります。
  • 買い替えの相談も同時に来る。 13年を超えると重量税が重くなる区分があり、「直すか、買い替えるか」の相談が、車検の見積もりと一緒に発生しやすくなります。
指標(乗用車・軽を除く)2025年3月末意味すること
平均使用年数13.35年1台を長く使う。初回以降の車検・整備の機会が増える
平均車齢9歳台後半いま走っている車の平均年齢。古い車ほど整備需要が厚い

自動車検査登録情報協会(自検協)「平均使用年数」「平均車齢」(2025年3月末現在)をもとに作成(2025年11月20日確認)。

整備の総売上は、なぜ6兆円を超えたか

ここまでの流れは、整備業全体の数字にも出ています。日整連の集計では、総整備売上高は6兆2561億円で、18年ぶりに6兆円を超えました。事業場の数も9万を超え、ゆるやかに増えています。

売上が伸びた背景には、保有が残り使用年数が延びたことに加えて、部品価格の上昇による整備単価の値上がりも効いています。あなたの店の整備売上が前年並みでも、単価上昇のぶんを差し引くと、入庫の台数や作業の中身は伸びていないこともあります。総額だけでなく、台数・単価・継続率に分けて自店を見ると、どこを伸ばせるかがはっきりします。

自店の数字との見比べ方 総整備売上6兆2561億円という全体の伸びを、自店の「車検入庫台数」「整備単価」「車検の継続率」と並べてみます。全体が伸びているのに自店が横ばいなら、継続率か単価のどちらかに改善の余地があります。

新車減を、車検・整備にどう振り向けるか

ここまでの数字をまとめると、来期の置き方は次のようになります。新車は控えめに、整備・車検は残った保有台数と使用年数の延びを根拠に厚く置く、という配分です。

領域根拠になる数字来期の置き方
新車販売2024年442万台・長期で縮小前年実績と長期傾向で控えめに。一時要因の反動は上振れ材料として別枠でみる
車検保有8277万台・使用年数13.35年既存客の継続率を上げる。車齢の高い客から先に次回車検を案内する
整備(車検以外)使用年数の延び・整備売上6兆円超年数・距離で来る部品交換を、車検時にまとめて提案する
買取・下取り13年超で重量税が重くなる区分「直すか買い替えるか」の相談を、車検見積もりと同じ場で受ける

新車の販売だけを追うと、市場が減るぶん、あなたの店の売上も先細りします。母数の残る整備・車検へ力を移すと、同じ商圏でも仕事の総量を保ちやすくなります。新車を売らないという話ではなく、新車1台ごとに、その先の車検と整備までを自店で受ける設計にする、という意味です。

来期に向けて、どの数字を毎月見るか

方針を決めたら、あとは数字を定点で追って、商圏が新車寄りか整備寄りかを早めに読みます。次の3つを見れば足ります。

  • 新車販売台数(毎月)。 登録車は自販連、軽は全軽自協が翌月に公表します。前年の同じ月と比べて、展示や仕入れの台数を上下させる目安にします。
  • 保有台数と平均使用年数(年1回)。 自検協が年に1回出します。商圏の母数と、その古さ=整備需要の厚みを確かめます。
  • 自店の車検継続率(毎月)。 全体の整備売上が伸びる中で、自店が取りこぼしていないかを見る、いちばん効く自前の数字です。

公的な統計は、出る時期がだいたい決まっています。年間の発表カレンダーは関連記事にまとめてあるので、毎月の数字を追う仕組みづくりに使ってください。

よくある質問

新車の国内販売台数は、いつがピークでしたか?
国内の新車販売台数は1990年(平成2年)の約777万台がピークです。その後は長く右肩下がりで、2024年(暦年)は442万1494台でした。ピークと比べておよそ4割減った水準です。
新車が減っているのに、保有台数や整備の仕事はどうなっていますか?
保有台数は2025年3月末で8277万台あり、横ばいから微減で大きくは減っていません。むしろ乗用車の平均使用年数が13.35年と長くなり、1台あたりの車検・整備の機会が増えています。日整連の集計では総整備売上高は6兆2561億円で、18年ぶりに6兆円を超えました。
新車販売台数の推移は、どこで確認できますか?
登録車(普通・小型)は日本自動車販売協会連合会(自販連)、軽自動車は全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が毎月公表します。年間の確報は翌年1月ごろに出ます。長期の推移はこの2団体の統計ページでさかのぼれます。
平均使用年数が延びると、車検や整備にどう効きますか?
1台を長く乗るほど、初回以降の車検の回数が増え、部品交換やバッテリー・タイヤなどの整備の機会も増えます。13年を超えると重量税が重くなる区分もあるため、買い替えと乗り続けの相談が同時に発生しやすくなります。

出典

SOURCES | 一次情報
  1. 日本自動車販売協会連合会(自販連)「新車統計データ」 jada.or.jp/pages/74/ (2025年11月20日確認)
  2. 全国軽自動車協会連合会(全軽自協)「統計資料」 zenkeijikyo.or.jp/statistics (2025年11月20日確認)
  3. 2024年の国内新車販売 442万1494台(前年比7.5%減)・登録車286万3626台・軽155万7868台。nippon.com(自販連・全軽自協発表をまとめた報道) nippon.com/ja/japan-data/h02260/ (2025年11月20日確認)
  4. 自動車検査登録情報協会(自検協)「平均使用年数(2025年)」(乗用車・軽を除く13.35年) airia.or.jp/publish/file/shiyounensuu_2025.pdf (2025年11月20日確認)
  5. 自動車検査登録情報協会(自検協)「自動車保有台数(2025年3月末/車種別)」 airia.or.jp/publish/file/kenbetsu2025.pdf (2025年11月20日確認)
  6. 日本自動車整備振興会連合会(日整連)「自動車整備白書」2024年版(総整備売上高6兆2561億円・18年ぶり6兆円超)。日刊自動車新聞 連載記事 netdenjd.com/archives/604131 (2025年11月20日確認)

新車販売の年間値は暦年(1〜12月)の確報です。保有台数・平均使用年数・平均車齢は各年3月末時点。整備売上は日整連の年版白書の数値で、年度ベースです。判断の前には各団体の最新ページで再確認してください。1990年のピーク値は過去最高として参照される水準を採用しています。

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