施行はもう過ぎている、という時間軸
OBD検査は「これから始まる制度」ではありません。合否に使う本格運用は、国産車と軽自動車が2024年10月1日、輸入車が2025年10月1日にすでに動いています。それより前は「プレ運用」という練習期間で、結果は合否に使われていませんでした。施行日を待っている段階ではなく、対象車が入庫し始めている段階だと考えてください。まず、節目を一枚で押さえます。
| 時期 | 何が起きたか | あなたの店への意味 |
|---|---|---|
| 2021年 10月1日 | 技術情報管理手数料(400円)が車検に追加。対象となる新型車が世に出始める | 車検を受ける全車にこの手数料がかかり始めた。OBD検査の合否運用はまだ先 |
| 2023年 10月〜 | プレ運用(練習期間)が開始 | 機器をつないで手順に慣れる期間。落ちても合否には影響しない |
| 2024年 10月1日 | 国産車・軽自動車のOBD検査が本格運用へ | 対象車は、この日から合否がつく。機器がなければ検査ができない |
| 2025年 10月1日 | 輸入車のOBD検査が本格運用へ | 輸入車を扱う店は、ここから合否がつく |
| これから | 対象の型式が毎年増える | 対象車の入庫が年々増え、いずれ車検の多くがOBD検査込みになる |
国土交通省および自動車技術総合機構(NALTEC)「OBD検査ポータル」をもとに作成(2026年6月4日確認)。
いつ効くかは、施行日でなく車齢で決まる
「2024年10月から本格運用」と聞くと、その日からすべての対象車がOBD検査になると思いがちです。実際は違います。本格運用が始まっていても、対象の型式の車には、検査を受け始めるまでの猶予があります。次のどちらかにあてはまる間は、まだOBD検査を受けません。
- その車の型式が世に出てから、2年を過ぎていない
- 初めてナンバーが付いた月の前の月末から数えて、10か月を過ぎていない
買ったばかりの新しい車はしばらく対象外で、初回の車検(おおむね3年目)あたりから順に検査へ入ってきます。つまり、あなたの店で「いつOBD検査が必要になるか」は、施行日そのものではなく、入庫してくる車の登録時期と車齢で決まります。1台ごとの要否は、特定DTC照会アプリで確認できます。
対象車は、毎年どう積み上がるか
対象になるのは、国産で2021年10月1日以降、輸入車で2022年10月1日以降に出た新型車(フルモデルチェンジ車)です。乗用車のほか、トラックやバスも入ります。一方で、大型特殊車・けん引される車・二輪車は対象から外れています。ここで効いてくるのが、前の章の「初回車検から順に対象へ入る」という仕組みです。
2021年秋以降に出た新型車が、3年後の初回車検を迎えるのが2024年秋からです。だから本格運用と対象車の入庫開始の時期がそろっています。その後も、新型車が出るたびに対象の型式が増え、3年後にその初回車検が来ます。対象車の入庫は、毎年少しずつ増えていきます。
| 対象の見分け方 | 確認できる場所 |
|---|---|
| 初度登録年月と型式 | 国産2021年10月・輸入2022年10月以降の新型車かを、型式から判断する |
| 車検証(電子車検証)の備考欄 | 「OBD検査対象」の表示があるかを見る |
| 特定DTC照会アプリ | その車が今回の車検でOBD検査の対象になるかを照会する |
自動車技術総合機構(NALTEC)「OBD検査ポータル」の対象車の確認方法をもとに作成(2026年6月4日確認)。
すでに払っている400円との違い
「OBD検査は1台400円」という説明をよく見かけますが、ここは分けて押さえます。400円は技術情報管理手数料という法定の手数料で、2021年10月1日から、車検を受ける車(二輪・大型特殊を除く)すべてにかかっています。メーカーが出す故障診断の情報を管理し、全国の検査場や整備工場が使う仕組みを動かすための費用です。OBD検査の対象かどうかに関わらず、すでにあなたの店の車検でも上乗せされてきた金額です。
一方で、OBD検査そのもの(合否の判定)が始まったのは2024年10月1日からで、対象車だけが受けます。手数料の開始(2021年10月)と、合否運用の開始(2024年10月)は、時期が3年ずれています。「もう400円を払っているから検査の準備も済んでいる」とは限りません。手数料を払っていることと、自分の店に検査の機器がそろっていることは、別の話だと押さえてください。
機器と体制を、いつそろえるか
本格運用はすでに始まっています。だから判断は「いつから準備を始めるか」ではなく「自分の店の入庫で、対象車をいつ受け始めるか」から逆算します。対象車を1台でも車検で受けるなら、その入庫の時点で次の3つが要ります。
- 国が認定したスキャンツール。車のコネクタにつなぎ、故障コードを読み取る機器です。
- OBD検査システムへの登録。読み取った内容を検査用サーバーに送り、合否を受け取る仕組みです。
- 常時つながるインターネット回線。検査のたびにサーバーと通信するため、安定した回線が要ります。
そろえる時期は、入庫の構成で決めます。判断の目安を3段で並べます。
| 自店の入庫の状況 | 機器・体制の構え方 |
|---|---|
| 対象車をすでに 車検で受けている | 3点は必須。未導入なら検査ができないため、最優先で手配する |
| 対象の新型車が 入庫し始めている | 初回車検が来る前に手配を終える。対象車は毎年増えるため、先送りしない |
| まだ対象車が ほとんど来ない | 導入時期と費用を見積もり、いつ入れるかを決めておく。来てから慌てない |
大事なのは、対象車がいっせいに来てから動くと、機器の手配と手順の習熟が間に合わず、車検の窓口が詰まる点です。今は入庫の一部でも、対象車は年々増えます。あなたの店の入庫構成を見て、どの時期に入れるかを今のうちに決めておきます。
まだ確定していない、確認が要ること
この記事には、一次情報で日付を確かめられたものだけを載せています。一方で、自分の店に関わるかどうかを今回の一次情報で確定できなかったものもあります。推測で機器や体制を決めないよう、確定分と分けて並べます。
- 自店の入庫に、対象車が何台あるか。 対象台数は地域や扱う車種で変わります。自分の店の数字は、入庫した車の車検証や特定DTC照会アプリで一台ずつ確かめてください。
- 導入にかかる費用そのもの。 スキャンツールやシステム登録の金額は、機器や契約によって変わります。一律の数字は今回は出していません。導入の前に、取り扱い先や整備振興会で見積もりを取って確かめます。
- 軽自動車の対象が、これからどこまで広がるか。 軽もOBD検査の対象に含まれますが、対象となる型式が今後どれだけ増えるかは、軽自動車検査協会の更新で確認してください。
このあたりは、地元の整備振興会や自動車技術総合機構、軽自動車検査協会に直接確かめてから動きます。確かめたうえで、機器投入の時期を決めます。
よくある質問
出典
- 自動車技術総合機構(NALTEC)「OBD検査について|OBD検査ポータル」(本格運用=国産・軽 2024年10月1日/輸入 2025年10月1日、対象=国産2021年10月・輸入2022年10月以降の新型車、対象外=大型特殊・二輪、確認方法=車検証備考欄・特定DTC照会アプリ) obd.naltec.go.jp/about/ (2026年6月4日確認)
- 自動車技術総合機構(NALTEC)「自動車検査手数料について」(検査の法定手数料の一覧) naltec.go.jp/business/inspection/fee.html (2026年6月4日確認)
- 軽自動車検査協会「令和3年10月1日より検査時に支払う法定手数料として技術情報管理手数料が追加されます」(技術情報管理手数料400円=2021年10月1日開始・車検の全車に追加。二輪・大型特殊を除く) keikenkyo.or.jp/notice/article.html?itemid=69 (2026年6月4日確認)
- 軽自動車検査協会 よくあるご質問「令和3年10月1日より、検査時に支払う費用として追加された技術情報管理手数料(400円)とは何ですか?」 keikenkyo-faq.jp/category06/inport-142/ (2026年6月4日確認)
本格運用日・対象範囲・確認方法は自動車技術総合機構(NALTEC)の公表にもとづきます。導入費用や自店の対象台数は機器・契約・入庫で変わるため、本記事では一律の数字を出していません。判断の前に、各機関の最新ページと取り扱い先で再確認してください。