入庫見込みの母数は、保有台数から取る

車検の入庫が来年いくつになりそうかを、自店の去年の実績だけで見ていると、商圏の車が増減した分を取りこぼします。母数を外から取り直すと、その揺れに気づけます。母数になるのは、あなたの商圏にある車の台数、つまり保有台数です。

全国の保有台数は、軽自動車を含めて約8278万台です(2025年3月末、自動車検査登録情報協会)。前年からはわずかに増えています。この台数の多くが、決まった周期で車検を受けます。自検協は同じ統計を都道府県別でも出しているので、自店の県や近隣の台数まで下ろせます。

なぜ自店の実績だけでは足りないか 去年の入庫台数は「自店が取れた数」であって、「商圏で発生した数」ではありません。商圏に車が増えていれば取りこぼした車検があり、減っていれば来年は実績より少なくなります。保有台数という母数を当てると、自店のシェアと、これから伸ばせる余地が見えます。

車種ごとの周期で、年間の車検数を割り出す

保有台数がわかったら、車種ごとの車検の周期を当てます。周期は道路運送車両法で決まっていて、車種で違います。

車種初回(新車)2回目以降
自家用乗用車
(3・5ナンバー等)
3年2年ごと
軽自動車
(自家用乗用)
3年2年ごと
貨物自動車
(1・4ナンバー等)
2年1年ごと
レンタカー
(自家用乗用)
2年1年ごと

道路運送車両法および国土交通省「自動車検査証の有効期間」をもとに作成(2026年6月4日確認)。車種・用途により異なるため、個別の車は車検証で確認します。

自家用乗用車は新車から3年、その後は2年ごと。つまり初回を除けば、商圏の乗用車のおよそ半数が毎年車検の対象になります。貨物車は毎年です。商圏の保有台数を車種で分け、それぞれの周期で割れば、1年にどれだけの車検が発生しうるかの母数が出ます。そこに自店が取れている割合を掛ければ、入庫見込みの土台になります。

いつ来るかは、新車登録の月から逆算する

年間の母数がわかっても、それが12か月へ均等に散らばるわけではありません。車検は最初の登録月にひもづいて、3年後・5年後と周期でやってきます。新車がよく売れた月の3年後・5年後は、自然と車検が増えます。

日本では年度末の3月に新車登録が集まる傾向があり、その分、車検も3月前後に山ができやすくなります。自店で過去に販売・登録した車の登録月を月ごとに数えておくと、来年どの月に車検が立ち上がるかが読めます。販売の記録が、そのまま入庫予測の材料になります。

2025年4月、2か月前から受けられるようになった

2025年4月1日から、車検の受けられる時期が変わりました。有効期間を縮めずに車検を受けられるのが、それまでの満了日の1か月前から、2か月前へ広がっています。道路運送車両法施行規則の改正(2024年12月25日)によるもので、年度末の混雑をならし、整備士の働き方を改善するのが目的です。自賠責保険の期間も、あわせて見直されています。

この変更は、入庫の山をならす手段になります。3月に満了が集まるお客様へ、2月のうちから案内を出せます。早く受けても次の満了日は前に詰まらないので、お客様の不利になりません。混む月の入庫を前の月へ送れる分、整備士の手と工場の枠に余裕ができます。

店頭での使い方 満了月が3月のお客様に、1月のうちに「2月に入れば、いつもの期限を縮めずに車検を受けられます」と伝えます。あなたの工場の3月の枠が埋まりそうなときほど、この2か月前の案内が空きを作ります。前倒しを選んだお客様には、次回の満了日が今までどおりであることを一言添えると、安心して早めに入れてもらえます。

取りこぼしを、車検切れの数から見る

母数のうち、案内が届かずに車検切れのまま走っている車もあります。国土交通省がナンバー自動読取装置で行った調査では、走行中の車の約0.27パーセントが車検切れと推計されています。台数にすると全国でおよそ2万台規模です。

割合としては小さい数字です。ただ、これは「車検の案内がどこにも届いていない車」が一定数あることを示します。あなたの顧客名簿のなかにも、満了が近いのに連絡が途切れている車があるかもしれません。満了の2〜3か月前に声をかける仕組みを持っていれば、ここを拾えます。母数を増やすより、すでに接点のあるお客様を切らさないほうが、入庫見込みは安定します。

どの統計を、どこで確かめるか

入庫見込みを立て直すために見る数字は、次の3か所にまとまっています。年に一度や随時で更新されるので、判断の前に最新の値を確かめます。

  • 保有台数と平均車齢は、自動車検査登録情報協会(自検協)の統計です。全国の総数のほか、都道府県別もあり、自店の商圏まで下ろせます。平均車齢が伸びているほど、車検や整備の需要は減りにくくなります。
  • 軽自動車の保有台数は、全国軽自動車協会連合会の統計です。県別の保有台数とシェアが出ています。軽の比率が高い商圏では、こちらを母数に加えます。
  • 車検の有効期間や制度の変更は、国土交通省の自動車検査登録の案内ページにまとまっています。2025年4月の受検期間の拡大のような変更も、ここで確認できます。

これらを年初に一度開いて、自店の母数と周期を当て直しておけば、来年の入庫見込みが去年の実績の写しではなくなります。数字を見たうえで、自店の取れる割合を上げる手を打ちます。

よくある質問

車検の対象になる車は全国でどれくらいありますか?
自動車検査登録情報協会によると、軽自動車を含む保有台数は2025年3月末で約8278万台です。このうち多くが定期的に車検を受けます。自家用乗用車は新車から3年、その後は2年ごと。貨物車は新車2年、その後は1年ごとです。自店の商圏の保有台数に、車種ごとの周期を当てれば、1年に何台の車検が発生しうるかの母数が出せます。
2025年4月から車検の受けられる時期が変わったと聞きました。何が変わりましたか?
2025年4月1日から、有効期間を縮めずに車検を受けられる時期が、満了日の1か月前から2か月前に広がりました。道路運送車両法施行規則の改正によるもので、年度末の混雑をならし、整備士の働き方を改善するのが目的です。これにより、3月に集中していた入庫を2月へ前倒しで案内できるようになりました。
車検切れの車はどれくらいありますか?
国土交通省がナンバー自動読取装置で行った調査では、走行中の車のうち約0.27パーセントが車検切れと推計されています。台数にすると全国でおよそ2万台規模です。割合は小さいものの、車検の案内が届いていない車が一定数あることを示します。継続検査の満了が近いお客様への声かけは、取りこぼしを減らす余地が残っています。
車検の台数や保有のデータはどこで確認できますか?
保有台数と車齢は自動車検査登録情報協会(自検協)の統計、軽自動車の保有は全国軽自動車協会連合会の統計で確認できます。車検の有効期間や制度の変更は国土交通省の自動車検査登録の案内ページにまとまっています。いずれも年に一度や随時で更新されるため、判断の前に最新の数字を見ます。

出典

SOURCES | 一次情報
  1. 一般財団法人 自動車検査登録情報協会「自動車保有台数」(軽自動車を含む保有台数は2025年3月末で約8278万台) airia.or.jp/publish/statistics/number.html (2026年6月4日確認)
  2. 一般財団法人 自動車検査登録情報協会「わが国の自動車保有動向」(保有・平均車齢の推移) airia.or.jp/publish/statistics/trend.html (2026年6月4日確認)
  3. 国土交通省「自動車検査証の有効期間」(自家用乗用車は新車3年・以降2年 等) jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/.../validity-period/ (2026年6月4日確認)
  4. 国土交通省「車検(継続検査)を受けられる期間の変更について」(満了日の2か月前から受検可。道路運送車両法施行規則改正、2025年4月1日施行) jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/.../inspection/ (2026年6月4日確認)
  5. 国土交通省「無車検車・無保険(共済)車通報窓口システム」(ナンバー自動読取装置の調査で走行中の約0.27%が車検切れと推計) mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk5_000012.html (2026年6月4日確認)
  6. 一般社団法人 全国軽自動車協会連合会「軽三・四輪車県別保有台数と保有シェア」 zenkeijikyo.or.jp/statistics/4ken-share (2026年6月4日確認)

保有台数は集計時点(各年3月末など)を、車検の周期と制度は道路運送車両法および国土交通省の公表をもとにしています。車検切れの割合は調査時点の推計値です。判断の前に各機関の最新ページで再確認してください。

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