中古車の登録台数は、いま増えているのか
結論から言うと、ここ数年は持ち直しています。2024年度(2024年4月〜2025年3月)の中古車登録・届出は合計646万7,884台で、前年比0.3%増と2年連続のプラスでした。ただし伸び幅はわずかで、台数の水準は2017〜2019年の700万台弱にはまだ届いていません。下げ止まって上を向いたが、ピークには戻していない。これが今の位置です。
| 区分 | 2024年度の台数 | 前年比 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 中古車 登録・届出 合計 | 646万7,884台 | +0.3%(2年連続増) | 持ち直してはいるが伸び幅は小さい。過去ピーク(700万台弱)には未到達 |
| うち 登録車 | 363万3,879台 | +0.8%(2年連続増) | 普通・小型は堅調。仕入れ枠を据えやすい |
| うち 軽自動車 | 283万4,005台 | −0.4%(2年ぶり減) | 反転に注意。地域の需要を別途確かめる |
自販連(登録車)・全軽自協(軽)の公表値を合算した数字(日本自動車会議所の整理による)。2024年度=2024年4月〜2025年3月。2026年6月4日確認。出典は記事末。
登録車と軽で、向きはどう分かれたか
合計だけ見ると「ほぼ横ばい」ですが、中を割ると登録車と軽で向きが逆です。登録車は2年連続のプラス、軽は2年ぶりのマイナスでした。この差は、あなたの仕入れ枠の取り方に直に効きます。
- 登録車(普通・小型)は2年続けて伸びています。普通車中心の在庫を組んでいるなら、需要の土台は当面崩れにくいと読めます。仕入れ台数は前年並みを基準に置けます。
- 軽は2年ぶりに前年を下回りました。下げ幅は0.4%と小さいものの、伸びから減りへ向きが変わった点が大事です。軽を多く扱う店ほど、地域の月次の数字で実際の動きを確かめてから仕入れ枠を決めます。
- 合計の前年比だけで仕入れを判断すると、軽の反転を見落とします。登録車と軽は別の流れとして枠を分けるのが安全です。
なお、ここでの「登録台数」は新規登録だけでなく、移転登録(所有者の変更)と変更登録を含む手続きの合計です。中古車が世の中でどれだけ動いたかを映す数字として読みます。
台数が伸び悩むのに、なぜ相場は高いのか
「登録台数は横ばいなのに、オークションの落札は高い」。この食い違いに心当たりがあるはずです。理由は需要というより、出回る台数の薄さにあります。
- 新車の供給が一時しぼんだ時期があり、数年落ちの良質な車が市場へ出てくる量が増えにくくなりました。買い替えが遅れれば、下取りに出る車も遅れます。
- オークションでは出品台数が前年を下回る月が続き、落札の平均価格は高い水準で動いてきました。仕入れたい台数より出回る台数が少なければ、相場は下がりにくくなります。
- つまり相場高の主因は「客が増えた」ではなく「玉が薄い」。この見立てだと、相場が動いた日に理由を取り違えずに済みます。
販売が鈍っても、入庫の母数は減らないのか
登録台数が伸び悩むと「市場が細る」と身構えがちです。ところが、もう一つの数字が逆を指しています。乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数は、令和7年(2025年)3月末で13.35年です。前年から0.03年延びて4年ぶりに長期化し、10年前より約0.97年長い水準です(過去最長は令和3年の13.87年)。1台を長く乗る流れが続いています。
| 指標 | 直近の数値 | 仕入れ・営業への含意 |
|---|---|---|
| 乗用車の 平均使用年数 | 13.35年 (令和7年3月末) | 長く乗る車が多い=古めの良質車にも下取り・買取の出番がある |
| 自動車の 保有台数 | 約8,277万台 (令和8年3月末) | 地域に車は厚く残る=車検・整備・買い替え相談の母数 |
| 使用年数の 10年前との差 | 約+0.97年 | 買い替え時期が後ろにずれる=下取り車が出るまでの間隔が延びる |
自検協(自動車検査登録情報協会)の公表値。平均使用年数は軽自動車を除く乗用車。2026年6月4日確認。出典は記事末。
つまり、販売の台数が伸びにくくても、地域に残る車は厚い状態が続きます。あなたの店にとっては、車検や整備の入口が細りにくく、そこから買い替え相談につなげる余地が残るということです。台数の伸び悩みを「需要の消失」と読むのは早とちりです。
単月のブレを、どう読み違えないか
毎月の発表を見ていると、前年比が大きく上下します。たとえば2025年12月の中古車登録台数は前年比103.3%で、3か月ぶりにプラスへ転じました。逆に言えば、その前の数か月は前年を割っていたわけです。単月の数字は土日の並びや前年の反動で簡単に振れます。1か月の前年比だけで仕入れを増減すると、振り回されます。
- 四半期(3か月)でならして見ます。1か月の上下より、3か月の方向の方が仕入れの判断に向きます。
- 必ず前年の同じ月と比べます。月をまたいだ前月比は季節の差で歪むため、需要の流れを見るなら同月比です。
- 全国の数字は背景の確認用、判断の主役は自店の商圏の数字です。地域差は大きいので、全国が伸びても自分の地域が逆のことがあります。
仕入れと在庫の構えを、どう決めるか
ここまでの数字を、明日の仕入れと在庫の判断につなぎます。あなたが決めるのは「査定の上限をどこまで張るか」「在庫を厚くするか絞るか」の2つです。
- 登録車と軽で枠を分けます。登録車は2年連続増を土台に前年並みを基準、軽は反転を確かめてから決めます。合計の前年比一本で決めません。
- 出回りが薄い車種は、査定の上限を上げてでも確保します。相場高の主因が品薄なら、待っても安く出てこない可能性が高いためです。
- 回転の遅い車種は枠を絞ります。長く乗る流れで買い替えの間隔が延びると、不人気車は在庫の日数が延びやすくなります。
- 車検・整備の入口は太く保ちます。販売が鈍っても保有台数と使用年数が厚い母数を残すため、整備からの買い替え相談を仕入れの一筋にできます。
数字は見るだけでは動きません。発表日を仕入れ会議の前に置き、四半期の方向と自店の地域の数字で読む。これを月のサイクルに組み込めば、相場の上下に振り回されずに構えられます。
よくある質問
出典
- 日本自動車販売協会連合会(自販連)「中古車統計データ」 jada.or.jp/pages/114/ (2026年6月4日確認)
- 全国軽自動車協会連合会(全軽自協)「軽四輪車中古車販売台数」 zenkeijikyo.or.jp/statistics/4used (2026年6月4日確認)
- 日本自動車会議所「2024年度の中古車登録・届け出台数」(合計646万7,884台・登録車363万3,879台・軽283万4,005台の整理) aba-j.or.jp/info/industry/23937/ (2026年6月4日確認)
- 自動車検査登録情報協会(自検協)「わが国の自動車保有動向」(平均使用年数・保有台数) airia.or.jp/publish/statistics/trend.html (2026年6月4日確認)
- 自動車検査登録情報協会(自検協)「自動車保有台数」 airia.or.jp/publish/statistics/number.html (2026年6月4日確認)
- 国土交通省「数字でみる自動車2025」 mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr1_000096.html (2026年6月4日確認)
台数は各団体の公表値にもとづく合算で、年度=4月〜翌3月です。月次の前年比は土日の並びや前年の反動で振れます。相場や出品台数の傾向は公表資料からの読みを含むため、入札や仕入れの判断の前には各機関とオークションの最新値で再確認してください。